ACRO代表、ダヴィッド・ボワイエ氏へのインタビューを纏めた記事がPaperskyオンラインに掲載された。
http://www.papersky.jp/2011/09/06/david-boilley-of-acro-the-zone/
この記事で、僕は自分の本来の領域…デザインの世界とはまったくかけ離れた話題を扱った。しかも、それが福島第一原子力発電所事故と放射能汚染の事。自分が深刻だと感じていても、身近なコミュニティにいる多くの人達とは、直に議論したり、話題に出したりすることはあまりできない。その一方で、同じ「危ない」を共有し合っても、何がどう危ないのか、何が分からないのか、疑問がなくなるわけでもない。かなり悩んだが、インタビューの機会に恵まれたので、直接会いに行った。
今回、記事にするまで、様々な人達からの助けを得ることができた。特にPaperSky編集長のルーカス B・B氏には英語の校正と編集をサポートしてもらい、彼の協力なしでは記事として形にすることは不可能だった。また、ドキュメンタリー映像作家のIan Tomas Ash氏や、日本在住の大事な友人(アメリカ)には、取材のアイディアやモチベーションの面で大いに助けてもらった。もちろんDavid Boilley氏、また他にも協力してもらった身近な人がいて、実行に移すことができた。
さて、福島県の子ども達の尿からセシウムが検出された、と市民団体が発表したニュースを覚えている人は多いだろう。その測定を行ったのが、フランスのNGO・放射能測定所、ACROである。
記事中にもあるように、このインタビューはおよそ1ヶ月前に行われている。そのため、彼が話している内容のうち幾つかについては、その後検査が進んでいたり、具体的な動きが見られていたりする。特にインタビュー冒頭の「避難した人達の一部に『貴方は元の場所に戻る事ができない』と政府が伝えなければならない」という点に関しては、前首相が退陣の直前に言及することとなった。
ボワイエ氏の話には、自分がそれまで持っていた認識を変えるような内容がいくつかあった。1つは、避難という決断に関しての見解。(参考まで、ACROは6年間ベラルーシの汚染地帯で活動した実績がある)また、初期の頃、直接汚染にさらされた作物とそうでないものの違い。そして特に海洋生物の汚染については非常に懸念している様子だった。
また、記事中ではあまり言及されていないが、ACROの測定技術はかなり高く、それ相応の実績もある。市民の疑問に答えるためのデータを、公的な検査機関と遜色無い高いレベルの測定で収拾する。そのためにラボ同士のネットワークを構築して、測定の品質管理をする。そうした点を重視しているようだ。測定や除染活動に関心のある専門家の方々にはぜひ直接コンタクトをとってほしい。
ボワイエ氏と日本との関わりはずいぶん長い。市民団体とも、科学者達とも繋がりがあるようだ。また、特に関西圏についてはとても詳しい方で、鰹節のような乾燥させた海産物がどうなるのか、という疑問は京都の料理屋で思いついたとのことだった…。
いずれにせよ、日本社会をある程度知っている人として、市民による放射能測定所の代表として…真っ当に聞こえる内容でも、氏のような立場の専門家が指摘することで、より一層説得力を持つこともあるだろう。
